生産家の
工夫

丸松製茶場とつながる
全国に拡がる数百もの
生産家それぞれの工夫

片山 裕司

深蒸し茶 静岡 / 菊川

独自の
蒸し製法による、
焙煎香の
深い味わい。

広大な牧之原台地の中で、毎年畑によって植え替え(改植)をしながら、徹底した肥培管理のもと自園自製もしています。ミネラル分を多く含む肥料を直接土壌に差すことで、栄養の吸収力が良くなり、病気や害虫にも強い茶葉になります。その土質と、平地ならではの日照時間の多さで、しっかりと分厚く育った茶葉は、深蒸しより、更にもう一度蒸気をあてる、片山氏ならではの追い蒸し製法によって、焙煎香のついた、味の濃いお茶となります。二代にわたって改植を続けており、畑を苗から植え替えていくことで、次の代も良い畑で、良いお茶を作ることができるように受け継いでいます。

八木 克典

深蒸し茶 静岡 / 菊川

限界まで深く蒸し、
お茶の甘みを
最大限に引き出す。

菊川平野で最も歴史ある、自園自製の生産家です。約50年前に、失敗から出来上がった、究極に深く蒸した茶葉が評価されたことで、八木製茶の深蒸し製法が始まりました。それ以来、日光を充分に浴びて育った平野の茶葉を、そのにおいで蒸しの限界を見極めながら、茶葉の最大限の甘さを引き出しています。深く蒸すことで、水色は黄金色を帯び、また極限まで蒸すため、葉も細かいが、ふんわりとした甘い香りと、旨みを凝縮した、余韻の残る味わいは独特のお茶となっています。菊川深蒸し茶発祥の地として、三世代にわたり、その伝統製法を守り続けることで、甘く、濃い味作りを伝えています。

中村 久宏

玉露 静岡 / 蛇塚

自然発酵する
ことで生まれる、
花の香りの際立つ
お茶。

安倍川の上流域で標高800mと、静岡でも高所にある霧深い山の急斜面の畑で自園自製をしています。平地に比べ、日照時間が短く、葉の生育が遅いため、栄養をじっくりと蓄えた、旨みの多いやわらかな茶葉が育ちます。また、一枚ずつ丁寧に手摘みされた葉は、竹籠に入れて一日置き、自然発酵をします(萎凋)。あまり日本茶では行わないこの工程により、花のような香りが際立った、のどごしの良いお茶となります。三代にわたって育てた畑への愛着と、高地の気候を熟知し、自然と共存した製法でできた茶葉には、中村氏の人柄がにじみ出た素直な味わいの中にも、こだわりの芳醇さを楽しむことができます。

杉村 金光

浅蒸し茶 静岡 / 藤枝

高い標高を
生かした、
爽やかな甘みの
茶葉。

標高400mほどの山に位置しており、霧が立ちこめるため、森林の中の新芽はマイナスイオンをたっぷりと浴びて育ちます。日照時間が短いので、茶葉は薄く、柔らかく、そのため、短い蒸し時間で、温度を一定に保ちながら揉むことで、葉の中の水分を一定に出し、水色を、透き通った明るい緑色に仕上げています。魚主体の肥料など、一年を通じて有機主体の肥料設計をしているため、アミノ酸が多く、ほんのりとした甘さと、山の茶の特徴である爽やかな香りをもつお茶となっています。杉村氏は、日頃から葉の状態を念入りに観察・研究し、国内茶産地に留まらず、海外の茶畑にも出向いて、日々茶作りと向き合っています。